明日 逃げ出さないために
「無理しなくていいよ」
「あなたらしくいればいいよ」
「きっと大丈夫だよ」
大人になってから こういう言葉をもらうことがある
もちろん やさしい言葉だと思う
でも ときどき私は思う
今ほしいのは やさしい言葉じゃない
明日もここにいていいと思える場所と そこへ向かうための ほんの少しの覚悟がほしいのだ
大人になると 「どこで生きるか」を自分で決めなければならない
仕事でも 人間関係でも 住む場所でもそうだ
「ここは自分には合わない」と気づいたとしても すぐにすべてを捨てて逃げられるわけではない
生活がある
責任がある
守らなければならないものもある
だからこそ 必要なのは「逃げてもいい」という許可ではなく 逃げ出さなくても済む場所を 自分で見つけることなのだと思う
私たちは つい「頑張れる場所」を探してしまう
多少つらくても 努力すれば認めてもらえる場所
無理をすれば なんとか居場所をつくれる場所
けれど 本当に探したいのは 頑張り続けなくても呼吸ができる場所なのかもしれない
何者かにならなくてもいい
誰かと競わなくてもいい
いつも機嫌よくしていなくてもいい
ただ、自分としてそこにいることが それほど苦しくない場所
それは 仕事かもしれない
趣味かもしれない
一人で過ごす時間かもしれない
気を遣わずに話せる誰かとの関係かもしれない
大切なのは 「ここなら明日も来られる」と思えることだ
人生を大きく変える必要はない
いきなり会社を辞めなくてもいい
住む場所を変えなくてもいい
人間関係を全部切らなくてもいい
まずは 自分が少しだけ楽に呼吸できる場所を一つ持つ
朝 コーヒーを飲む時間でもいい
休日に一人で歩く道でもいい
好きな本を読む夜でもいい
そういう小さな「自分の場所」があると 人は案外 もう少しだけ踏ん張れる
だから私は 「逃げないこと」を強さだとは思わない
逃げたくなったときに 何が嫌なのかを見つめる
何なら耐えられるのかではなく 何なら大切にしたいのかを考える
そして 少しずつ自分の居場所をつくっていく
それが、大人の生き方なのではないだろうか。
明日 逃げ出さないために必要なのは 立派な目標でも 前向きな言葉でもない
「ここにいてもいい」と思える 小さな場所を持つこと
人生は どこかへ逃げ切れば終わるものではない
だからこそ 逃げることばかり考えなくてもいい場所を 自分の手で見つけていきたい
やさしい言葉はいらない
明日も生きていけると思える場所があれば それでいい・・・